2012年5月6日日曜日

Psychology And Scientific Risk Management: 2007年7月


仏暦2550年07月13日 金曜日

 学校も子供の安全教育はいろいろやっている訳で、我が子も何をやったのかを家で開陳してくれたりします。で、その中の一つに、最近教室のテレビで流している防犯DVDに不審者対策のものがあるそうで、そのキメの踊りと言うか歌と言うのが面白かったそうな。曰く、

「おいしいお菓子に誘われたって 嫌だ 行かない 助けて〜!」

この歌に振り付けがついていて、廣島も思わず覚えてしまった訳なんですが、ふと気づいてみると、この歌のお菓子の形容詞って"おいしい"なんですね。一寸昔だったらば"甘い"だったことでしょう。

 そう言えば、ちょいと前迄はこの手の防犯用語等で詐欺に注意を呼びかける標語に、

「甘い話にご注意」

と言うようなものがあったような。今だったらば、ここもやっぱり

「うまい話にご注意」

と言う表現になるものではあります。"甘い"と言う形容詞よりも"おいしい"と言う形容詞の方が訴えかける力がある、と見做されているのが現代であります。

 とは言え、時は更に過ぎていくものであり、もう少々後の時代にはまた"甘い"と言うほうがインパクトがあるかも知れません。或いは、階級社会の登場が取りざたされています。上流の階級には"うまい"と言う形容詞が訴えかける力があり、下流階級には"甘い"と言う表現が訴える力が出てくるとかになるかも知れません。そして、その端境の時期には、このような警告の効力が少し落ちたりするものかも知れません。

                   †

 その警告や警報の類は、様々なリスク・マネジメントにおいて、マンマシンインタフェースやリスクコミュニケーションの観点から、問題になる所です。警告や警報が発信者の意図どおりにきちんと利用されると考えるのは素朴に過ぎるからです。大津波が来ることをせっかく刈り取って干してある稲束を焼いて村人に知らせたと言う中井常蔵の小説「稲むらの火」なんぞは、あまりにもロマンチック過ぎる話ではあります。もし村人たちが呑気だったらば、数名が駆け上がって様子を見ただけに終わったものでありましょう。

 この問題が身に染みてしまった小さな事件が、先日廣島に起こったのであります。いつものように昼食を取るために勤務室を離れた廣島が自室に戻ってみると、時々

「ぷー」

と言う音が部屋に満ちているのを発見しました。構内一斉放送のスピーカーの調子が悪いのだろう、その内止むだろう、と思って、甚だ疲労していた事もあり、そのまま昼休み時間は爆睡したんであります。何しろ、つい先日「大腸過敏性症候群」の診断を貰ったばかりなものですから。


咳止めシロップからコデインを抽出する方法

 ところが、目が覚め、昼休み時間が終わり、更に30分程経過してもこの音は止まりません。大体、天井スピーカーから聞こえてくると記しましたが、それも確実ではなく、音源がはっきりしません。音の周波数が全体的にかなり高いからです。少々我慢し、音の出る時間間隔を計測なぞしても見ました。18秒鳴り、38秒停止します。極めて正確です。これは、故障の類によって出る音ではなく、メカがそのように設計されている事によって鳴る音としか思えない。だが、廊下の天井スピーカーからそのよう音は出てきません。

 たまりかねて施設担当者に電話をしようと電話機に手を伸ばした瞬間、問題の原因と対策は完全に明らかになりました。なんと、いつの間にか、電話機がオフフックになっていたんであります。かの音は、電話機から出ていたのでした。廣島が静かに、少しだけ恥じらいながら受話器をきちんと置き直したのは言うまでもありません。別に誰も見ていないってばさ。

 一体、オフフックの状態が長く続く事によって電話機が出す音って、昔はどういうものだったでしょうか?

「ぷぷぷぷ」

と言うようなものだったように記憶しています。これは、電話局の交換機から送られてくる音だった筈です。つまり、全国共通です。ところが、電話機もそれ自身がある程度の情報処理機能を持つようになり、この音も逆に自力で出さなければならなくなった。ここに不統一が生まれます。心理学や人間工学の用語で言えば

「アフォーダンスがなくなった」

んであります。一体誰が、ある電話機では"ぷー"とロマンチックにも妙なタイミングで断続し、別の電話機では"ぷぷぷぷ"と出る音を、統一的にオフフックだ、と想起出来るでしょうか?

 もう一つまずいことに、今回廣島を惑わしたこの音は、かなり周波数が高かった。音源の方位は、両耳に音が到達する時間差によって知覚される部分が大きい。必然的に、高い周波数の音は定位し難い事になります。

 と言う訳で、マンマシンインタフェースの勉強、頑張ってください >岩●通信機さん

                  †

 さてその「大腸過敏性症候群」でありますが、要するにストレスが目一杯大腸にやって来た訳です、それも仕事のストレスが。ストレスは何もPTSDにだけ出てくるものではないんでありまして、一頃何でもかんでもPTSDだと騒いでいたのは、誠に非科学的で見苦しくさえあるものでした。

 閑話休題。

 当然、人体にはこのような病気に対する警報装置が備わっています。その典型的なシステムが"痛み"です。今回の発症においても、痛みはかなり前に一度ありました。それは、6月10日の日曜日の昼前でした。突然左脇腹にねじれるような痛みを感じ、立っていられなくなり、15分程横になっていたのです。痛みが収まった後、2時間程昼寝をしてその場は収まりました。


進行癌の嘔吐と下痢

 次の"アタック"は6月18日の夜中にやって来ました。そして、これが本番でした。どうしても左腹が痛く、何度も大便をきばってみたのですが、出ない。痛みも収まらない。激痛と言って良いです。痛みの位置は少しづつ移動していました。甚だしく寝不足になりました。流石にまずいと思い、19日は急遽仕事を休んで病院へ。医師は背中を叩いてみたり、腹をあちこち押してみたりで、まず尿管結石を疑ったようです。早速尿検査と血液検査実施。薬の処方は何もありませんでした。また、超音波断層検査の予約を入れました。

 なお、元々廣島は大腸に痛みが来やすく、今回もヨクヨク観察してみれば痛みの位置が少しづつ移動しているので、本人としては大腸に問題があるのだろう、と薄々思っていました。膵臓炎や胆石だとすると、痛みの位置が余りにも違います。廣島の大脳前頭葉に形成された警報システムは大腸の問題をウォーニングしていた訳です。

 翌日20日も調子優れず、またしても休みとし、超音波断層検査の予約をこの日に繰り上げて貰って検査。やはり夜中に痛みあり。

 21日と22日は職場の研究発表会があり、司会だ自分自身の発表だで多忙なのですが、調整をしなおして貰い、21日に無理やり発表を行い、22日の午前に通院。腎臓の中に結石があるが、明らかに動かない状態なのでこれは痛みの原因ではない、と言う事で、今度は25日に大腸バリウム造影検査をする事になりました。なお、1年半前には別の病院で大腸内視鏡検査を受けており、この際の記録もこのブログに掲載してあります。だが、1年経過すればチャラなんだそうな。また、今回は内視鏡は予約で満杯なのでやや空いているバリウム検査をしたとのことでした。この日、内臓系痛み止めだと言う「トランコロン」と整腸剤である「セレキノン」の処方を受けました、それもど〜んと2週間分。どうやら、医師も大腸問題説� �完全に切り替えた模様です。22日の午後は研究会司会の仕事。

 さて、この大腸バリウム検査と言うのは、前日から検査食「エニマクリン」と言うものをちょぼちょぼ食べつつ下剤を飲んで腸内をすっからかんにし、肛門からバリウムを注入してレントゲン造影をする、と言う大層な代物なのです。"えにまくりん"なんぞ聞いたこともありませんから、言われるままに病院内売店にて「エニマクリン」を購入。1575円でしたが、整腸剤等を薬局で受けとったらば、その薬局では200円引きでした。今更遅いって。


割合は神経性食欲不振症過食症

 で、23日土曜日は体を休めながら普通に食事をし、24日日曜日は朝からこのエニマクリンに水、お茶、コーヒー、スポーツ飲料、透明なジュース以外には口にしてはならないのであります。あ、後は下剤もOK。
 朝は、おかゆにとろみがついたいり卵に身のない味噌汁
 昼は同じくおかゆにカツオ振り掛けに澄まし汁
 夕方はブルーベリーゼリー、カロリーメイトみたいなもの、甘い栄養補給ドリンクなるもの2杯
 夜はかぼちゃスープのみ
これで一日1000cal少々。概ね成人男性が毎日摂取するcalの3分の1強と言う所です。まぁ、こちらはすっかりダウンしていてあまり身体もあたまも動いていませんので、これでお腹が空くと言うこともありませんでした。また、下剤も指示書どおりに飲み、好調に排便が行われました。

 25日の検査そのものは11時過ぎの予約どおりに始まりました。既に整腸剤等が効果を現しており、調子が大分良くなっているので気分良好。だが、この手の検査室は放射線の防護のために部屋が地下にあるのは当然として、どこも狭くて薄暗いのは少々こたえます。待っていると、検査が終わった老人がストレッチャーに乗せられたまま廊下に置かれており、全く意味のない声を時折叫んでいます。その脇では彼の係累と思しき中年の女性と、彼女を支援するNPOの人のようなやや若い女性が小さな声で何やら話し込んでいます。

 やがて廣島の番が来て、昨年末の大腸内視鏡検査のように、後ろに穴のある紙パンツ等に着がえ、副交感神経ブロッカーを注射されました。検査器材は毎年職場の検診で受けている、胃のバリウム検査用の装置そのもののように見えました。検査技師氏は比較的陽気で、色々話をしながらさて検査開始。胃の検査では素早く身体を回転させるけれども、腸のほうはゆっくり動いてください、との由。まずは例によっていきなり肛門に潤滑剤を塗りたくり、バリウムと空気を注入するチューブを挿入します。チューブが抜けないように、肛門の外と内側で風船を膨らませて固定します。ここで検査技師氏は放射線から防護されている別室の操作室に引き上げ、検査本番開始。

 バリウムが入っていく感じと言うのはあまりありませんでした。空気が入っていく感じと言うのはややしました。最終的にはかなり強く腹が張る感じがしてやや苦しい感じでした。指示通り回転したり横になったりして15分ほどで終了。空気を抜く際には、やはりほっとしました。最後に、検査技師氏は、廣島のお尻をきちんと拭いてくれたのであります。他人のお尻を拭くなぞ、親にしか出来ないことであります。そう言えば、この前に受けた腹部超音波断層検査では、最後にタオルが与えられ、腹に塗りたくられたジェルは自分で拭けと言われたものでした。何とありがたい事ではありませんか。

 検査技師氏の表情から、どうやら特段の異常部位はなかったのだな、と判断し気楽に。直後の排便は勿論純粋バリウム。この世の中にこんなに白いものがあるのか、と思う程、真っ白い"ウンチ"でありました。


 と言う訳で7月3日の午前に再び通院して、特段の病巣なしよって大腸過敏性症候群!の診断を目出度く貰った訳であります。仕事の方はありがたいことに、負担をあれこれと軽くして貰い、自分でもあれこれ無理をしない事として、かなり快方に。まぁ、まだ排便が不規則なので薬が手放せないように思えますが。

 今回の件で、廣島の頭には新たな"警報"が設置されました。まぁ、お釈迦様の言葉どおり

「人があれをしてくれないこれをしてくれないと思うことは、執着であり苦しみの元である」

と言っておきましょう。(自爆)

                    †

 と言うような無理をしてやっとこさっとこ作った研究計画を本部で報告したのが今日。ボロ糞に批判を浴びて再提出を指示されたのは予想どおりでありましたが、流石に帰りの電車の中では半ばぼんやりしておったのであります。今晩はかみさんと子供はかみさんの実家に行っていて、さて久方ぶりに酒でも飲もうかとか考えておりました。と、男性の多い電車の中に若い女性が一人乗っていました。見た目、結婚とか家庭生活に縁の薄そうな人です。

 考えてみれば、と考え始めたのですが、昨今の東京の合計特殊出生率は1そこそこです。明らかに、結婚して家庭を持っている女性のかなりの率は二人以上子供がいます。と言う事は、東京の若い女性の内、半分少々程度しか子供を持てない、と言う事になりますか。

 結婚する率はどうでしょうか、老人になっても結婚は出来ますが、これも従来の概念のとおりに"普通に"結婚する率は7割そこそこでしょうか。廣島の周囲にも所謂適齢期を過ぎて独身の女性がごろごろいます。そして、結婚したとしても、大体男性の方が短命です。人生最後のかなりの期間と今際の際には一人になってしまう可能性が大です。

 20才代から30才代の人が生まれた時には、既に高度経済成長後の出生率の低下(※その前出生率の低下は高度経済成長が始まる前の1950年代に起きました)がゆるやかに始まっていました。となると、これらの若い女性のかなりが、そもそも甥や姪すら一生いない確率がかなり高いことが、容易に想像出来ます。

 以上の推計は非常に雑駁なもので、まぁ、もっときちんとした値を出せると思いますが、正確な統計を探すのは酒を飲んでいてちょいと面倒なので、省略。(^_^;) 

 そんな風に考えている内に、向かいの席に座った別の若い女性が目に止まりました。彼女は右手に携帯を握りしめていましたが、次第にその携帯の傾きが大きくなるのです。そう、彼女は居眠りをし始めていたのです。現在、我が国は急速に医療費さえ払えない状態に突入しています。彼女たちが、今際の際に、夫も、子供も、姪や甥にも看取られることなく、病院にも入れず、アパートの片隅で携帯を握りしめて絶命する可能性はかなり高いと言うべきです。勿論、若い男性も、同じく。


 一体、どうしてもやりたくて仕方がないことのために人生を捧げたとかと言うのでもないのに、人が一人寂しく死ぬと言うことが幸福と言えるでしょうか? 我々日本人全てが、人間の幸せにとって根本的に間違っていることをやっているのだ、と言う認識がなりたちます。これもまた、"警報"の一種ではありましょう。

                  †

 と言うところで、眠気の警報がやって参りました。ではでは、また。



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